厨房機器を導入する前に、機器側の給排水の条件(メーカーの仕様書)と、店舗にすでにある給水・排水設備を照らし合わせて確認することが基本です。名古屋市で飲食店を営業する場合は、工事を始める前に設計図面などを持って管轄の保健センターへ事前相談する流れが案内されています。まず機器の仕様書を手元に集め、給水管・排水口の位置や既存の排水設備を確認してから、工事を頼む先と見積もりの範囲を決めていきましょう。
- 機器を選ぶ前後に確認したい給水・排水の項目
- 名古屋市の営業許可と保健センターの事前相談で確認すること
- 工事の依頼先と、見積もりで見ておきたいポイント
この記事は、名古屋市の公式情報をもとにした一般的な整理です。営業施設の基準は業種や営業内容によって異なり、機器の仕様値もメーカーごとに違います。個別の判断は、保健センター、メーカーの仕様書、市指定の工事店で確認してください。
結論:機器の仕様と店舗の既存設備を、購入前に照らし合わせる
厨房機器の給排水で手戻りを減らすには、機器を買う前に「機器が求める条件」と「店舗の設備の現状」を並べて確認するのが近道です。購入後に条件が合わないと分かると、配管の引き直しなど追加の工事が必要になることがあります。
照らし合わせる2つの情報
1つ目は、機器側の情報です。必要な給水の条件、排水の方式、設置寸法などは、メーカーの仕様書や設置要領に示されています。数値は機種ごとに異なるため、この記事では載せません。必ず手元の仕様書で確認してください。
2つ目は、店舗側の情報です。給水管の口径、水栓の位置、排水口の位置、排水管の勾配、グリース阻集器の有無などが当たります。図面が残っていない場合は、施工した業者や工事店に現地で確認してもらう方法があります。
この記事で扱う範囲
ここでは、業務用食洗機・製氷機・シンクなどを新設または入れ替えるときの給排水に絞って整理します。機器の製品紹介や比較は行いません。店舗全体の改装で必要な設備や申請の全体像は、店舗改装の給排水工事で確認すべき設備・申請・業者選びもあわせて参考にしてください。
購入前に確認したい給水・排水の項目
確認する項目は、給水、排水、設置場所、グリース阻集器との関係の4つに分けると整理しやすくなります。
給水と排水の確認項目
下の表は、機器側と店舗側で確認したい内容をまとめたものです。機器側はメーカーの仕様書で、店舗側は図面や現地で確認します。
| 確認する項目 | 機器側(仕様書で確認) | 店舗側(図面・現地で確認) |
|---|---|---|
| 給水 | 必要な給水の条件(口径・水圧など)。数値は仕様書の記載に従う | 既存の給水管の口径、止水栓、水栓の位置 |
| 排水 | 排水の方式、排水の位置、排水の量や温度などの条件が示されているか | 既存の排水口と排水管の位置、勾配、床の排水設備の有無 |
| 設置場所 | 本体の設置寸法 | 設置できる広さ、搬入経路、床や壁の状態 |
| グリース阻集器 | 機器の排水がどこへ流れる想定か | 阻集器の有無、位置、そこまでの排水の経路 |
表の項目が仕様書と現地で食い違う場合は、機器の購入や発注を進める前に、工事店へ相談しておくと安心です。
グリース阻集器との関係
阻集器のある店舗では、導入する機器の排水が阻集器を通る経路になるかどうかを確認します。経路は店舗の設備によって異なるため、図面と現地の両方で見てもらうのが確実です。阻集器の役割や維持管理については、グリース阻集器とは?飲食店の設置・維持管理と排水設備工事の確認点で解説しているので、この記事では繰り返しません。
購入前に手元にそろえたいもの
- 候補機器のメーカー仕様書・設置要領
- 店舗の平面図、給排水の配管図(ある場合)
- 既存の給水栓・排水口・グリース阻集器の位置が分かる写真やメモ
- 導入予定の機器の種類と台数、設置したい場所
食洗機・製氷機・シンクで追加工事が必要になる場面
追加工事が必要かどうかは、機器と店舗の設備の組み合わせで決まります。ここでは、機器の種類ごとに確認したい視点を整理します。
業務用食洗機
食洗機は給水と排水の両方に接続するため、給水栓の位置、排水口の位置、設置場所のスペースを合わせて確認します。排水の接続方法については、名古屋市上下水道局の排水設備要覧(令和8年4月1日改定)の排水設備技術指針に、食器洗浄機や製氷機などの厨房用機器の排水は、排水管に直結せず、いったん大気中に開放して排水口空間をとり、水受け容器へ排出する間接排水とすることが示されています。実際の配管や水受け容器の位置は店舗の設備によって変わるため、指定排水設備工事店と保健センターに確認してください。
製氷機
製氷機も給水と排水が必要になる機器です。設置したい場所の近くに給水栓と排水口があるか、なければ配管を延ばす工事が必要になるかを、仕様書と現地を見比べて確認します。製氷機の排水も、上記の排水設備技術指針で間接排水とする機器に挙げられています。水受け容器の位置など具体的な配管の方法は、工事店に現地で確認してもらってください。
シンクと手洗い設備
シンクや手洗い設備を増やす場合は、給水と排水の配管を新しい位置まで引く工事になるかがポイントです。名古屋市の営業施設の基準では、手洗い設備は流水式のものを必要な個数備えることが求められており、洗浄設備も使用目的に応じた大きさと数が必要とされています。具体的な個数や構成は営業内容で異なるため、設計の段階で保健センターに確認します。
床や壁の工事が関わる場合
配管の経路や排水口の位置を変える場合は、床や壁を開ける工事になる可能性があります。名古屋市の基準には、清掃などに水が必要な施設の床面は不浸透性の材質で排水が良好であること、内壁は床面から容易に汚染される高さまで不浸透性材料で腰張りされていることが定められています。床や壁を工事するときは、仕上げの条件も関係するため、図面を示して事前相談で確認しましょう。
⚠️ 配管の工事を自分で行うのは避けましょう
給水・排水の配管は、接続の不備があると水漏れや排水の逆流につながるおそれがあります。階下への漏水や衛生上の問題が出ることもあるため、配管の接続や変更は、市指定の工事店や管理会社に相談して進めてください。
名古屋市の営業許可と保健センターの事前相談
名古屋市で食品を扱う営業を始める場合、営業許可が必要な業種では、工事を始める前に管轄の保健センターへ事前相談することが案内されています。厨房機器の配置や給排水の計画は、この段階で確認しておくと安心です。
営業許可の流れ
名古屋市公式ウェブサイトの食品取扱施設 営業許可のページでは、おおむね次の流れが示されています。
- 事前相談:工事の着工前に、設計図面などを持って管轄の保健センターへ相談する
- 営業許可申請書の提出:営業開始予定日の少なくとも20日前までに、手数料を添えて提出する
- 施設の審査:施設の概要を説明できる責任者が立ち会う
- 営業許可書の交付:施設基準への適合を確認したあとに作成される
- 営業の開始
営業許可書の交付までには数日かかるため、開店日は事前に相談するよう案内されています。工事の日程も、この流れを前提に組み立てましょう。
給排水に関わる施設基準の主な項目
名古屋市の「営業施設の基準」のうち、全業種に共通する基準から、給排水に関わる項目の要点を抜き出すと次のとおりです。
| 項目 | 基準の要点 |
|---|---|
| 給水設備 | 水道水などの飲用に適する水を、必要な場所に適切な温度で十分な量供給できること |
| 手洗い設備 | 手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式のものを必要な個数備え、洗浄後の手指が再び汚染されない水栓の構造であること |
| 排水設備 | 十分な排水機能があり、水で洗浄する区画や廃水が流れる区画の床面に設置されていること。汚水が逆流しない配管で、施設外へ適切に排出でき、配管の容量と位置も適切であること |
| 洗浄設備 | 食品等を洗浄するため、必要に応じて熱湯や蒸気などを供給でき、使用目的に応じた大きさと数であること |
基準は、全業種に共通する部分に加えて、業種ごとの基準や特定の食品を扱う場合の基準に分かれています。表は共通基準の一部の要約であり、手洗い設備の個数やシンクの構成といった細目は営業内容で異なります。
事前相談で伝えたいこと
相談では、設計図面に加えて、導入する機器の種類と台数、設置場所、給水と排水の接続位置を示せると話が進みやすくなります。次の点を事前に整理しておきましょう。
保健センターへの相談前チェック
- 営業する業種・営業内容(扱うメニューや調理の範囲)
- 導入する機器(食洗機、製氷機、シンク、手洗い設備など)の種類と台数
- 機器の配置と、給水・排水の接続位置が分かる図面
- 床や壁を工事する場合は、その範囲と仕上げの内容
⚠️ 基準の判断は保健センターに確認してください
施設基準への適合は、保健センターが現地審査などで確認します。基準に合わない状態のまま営業すると、営業に支障が出るおそれがあります。具体的な扱いは断定できないため、設計の段階で関係機関に確認してください。
工事の依頼先と手続き:市指定の工事店が担う範囲
名古屋市では、給水装置と排水設備の工事は、それぞれ市指定の事業者・工事店が申請の代行まで行う仕組みが案内されています。工事の依頼先は、まずここを確認します。
給水側の工事
名古屋市上下水道局の給水装置工事のお申し込みのページによると、給水装置の新設・改造・撤去の工事は市指定水道工事業者へ申し込みます。業者は必要な調書を作成し、お客さまに代わって局へ申請して承認を受けます。屋内配管は市指定水道工事業者が施工し、指定を受けていない業者の工事は違反工事になると注意されています。
機器への接続だけで済むのか、給水管の改造を伴うのかは、現場の状況で変わります。給水口径の変更が必要な場合などは、工事店と上下水道局に確認してください。
排水側の工事
排水設備工事のお申し込みのページでは、配管工事などは市指定排水設備工事店へ申し込むとされています。工事店が書類を作成して局へ申請し、承認を受け、宅内の排水管の工事を行う流れです。なお、このページの最終更新表示は2019年4月1日のため、手続きの現行の扱いは申込み前に上下水道局へ確認してください。
2つの工事店の違い
給水と排水では、依頼先となる事業者の区分が異なります。違いと確認方法は指定給水装置工事事業者と指定排水設備工事店の違い|依頼前の確認ポイントで整理しています。厨房機器そのものの据え付けを誰が行うかは、購入先やメーカーの案内で確認してください。
見積もりの確認点と、手戻りを防ぐ進め方
見積もりでは、どこまでが工事に含まれるかと、追加費用が出る条件を確認することが大切です。金額の安さだけで決めず、作業内容の説明が分かりやすいかも見ておきましょう。
見積書で確認したい点
見積書の確認項目
- 工事の範囲(給水の工事、排水の工事、床や壁の工事と復旧が含まれるか)
- 機器の据え付けや接続が、この見積もりに含まれるか別になるか
- 申請などの手続きが含まれるか、費用の扱いはどうなっているか
- 追加費用が発生する条件(現地を開けてから配管の状態が分かった場合など)
- キャンセル料、出張費、夜間・休日の料金の有無
- 工事後の保証の有無と範囲
相談から工事までの進め方
手戻りを減らすには、次の順序で進めると確認の抜けを防ぎやすくなります。
- 候補機器のメーカー仕様書で、給水・排水・設置寸法の条件を確認する
- 店舗の既存の給水・排水設備と照らし合わせる
- 保健センターに、設計図面などをもとに事前相談する
- 市指定の工事店に現地を見てもらい、見積もりを取る
- 機器を発注し、工事の日程と開店日を調整する
開店日との調整
営業許可書の交付までには数日かかると案内されています。工事の完了予定日と審査の日程、開店日を並べて、余裕のある計画にしておきましょう。
よくある質問(FAQ)
厨房機器を入れるとき、給排水で最初に何を確認すればよいですか?
最初に確認するのは、候補機器のメーカー仕様書にある給水・排水の条件と、店舗の既存の給水管・排水口の位置です。両者を購入前に照らし合わせると、追加工事が必要かどうかの見通しが立てやすくなります。
製氷機の排水工事は必ず必要ですか?
必要かどうかは、機器の条件と設置場所の設備によって変わるため、一律には言えません。設置したい場所の近くに給水栓と排水口があるかを仕様書と現地で確認し、不足する場合は工事店に配管の工事を相談します。
シンクの槽数や手洗い設備の数は、どう確認すればよいですか?
名古屋市の営業施設の基準を確認したうえで、保健センターへの事前相談で確認します。基準では、流水式の手洗い設備を必要な個数備えることや、使用目的に応じた大きさと数の洗浄設備を備えることが示されていますが、具体的な個数や構成は業種や営業内容で異なります。
グリース阻集器がある店舗で機器を増やすときの注意点は?
増やす機器の排水がどの経路を通り、阻集器を経由するかどうかを確認することです。経路は店舗の設備によって異なるため、図面と現地の両方を見てもらい、工事店に確認してください。
工事は誰に依頼すればよいですか?
給水装置の工事は市指定水道工事業者、排水設備の工事は市指定排水設備工事店が、書類の作成と局への申請を代行する仕組みが案内されています。見積もりでは、工事の範囲と追加費用の条件を確認しましょう。
まとめ:厨房機器の給排水は「購入前の照合」と「事前相談」で進める
厨房機器の導入では、機器の仕様書と店舗の既存の給水・排水設備を購入前に照らし合わせ、名古屋市では工事前に保健センターへ事前相談することが基本です。
- 機器側と店舗側の照合:給水の条件、排水の方式と位置、設置寸法、グリース阻集器との関係を確認する
- 保健センターの事前相談:設計図面などを持参し、手洗い設備・洗浄設備・給水・排水の基準を確認する
- 依頼先と見積もり:市指定の工事店に依頼し、工事の範囲と追加費用の条件を確認する
まずは候補機器の仕様書と店舗の図面を並べて確認するところから始めてください。

店舗・自宅の水道工事は愛知県名古屋市の水道工事ドットコムにお任せください。地域最安値で満足できる水道工事を行います。

