店舗改装では、内装デザインや設備選びに目が向きがちですが、実は給水管・排水管の確認が工事全体の進め方に大きく関わります。特に飲食店、美容室、サロン、小規模店舗では、水回りの位置や排水条件を後回しにすると、追加工事や営業開始の遅れにつながることがあります。
- 店舗改装で必要になりやすい給水・排水工事の種類
- 飲食店・美容室・小規模店舗で確認すべき水回り設備の違い
- 保健所・管理会社・指定工事店へ相談する前に準備したいこと
こんな方におすすめの記事です
- 名古屋市・愛知県周辺で店舗改装を検討している方
- 飲食店、美容室、サロン、小規模店舗の開業準備を進めている方
- 内装業者に相談する前に、水道工事の確認ポイントを知っておきたい方
本記事では、店舗改装の給排水工事で確認すべき設備・申請・業者選びについて、飲食店・美容室・小規模店舗の違いをふまえて解説します。(専門知識は不要です!)
注:保健所・消防・設備基準などの要件は、業種・物件・自治体・工事内容によって変わる場合があります。この記事では一般的な確認ポイントを整理し、最終判断は管轄窓口・管理会社・施工業者への確認を前提とします。
店舗改装の給排水工事で最初に確認すべきこと
店舗改装で水回りを扱う場合、最初に確認したいのは「どこに水を引き、どこへ排水するか」です。内装レイアウトを先に固めてしまうと、あとから排水管の位置や勾配が合わず、床上げや配管のやり直しが必要になることがあります。
特にテナント物件では、前の店舗の設備が残っていても、そのまま使えるとは限りません。飲食店だった物件を美容室にする場合、物販店だった物件をカフェにする場合など、業種が変わると必要な手洗い・シンク・給湯・排水設備も変わります。
内装レイアウトより先に水回り位置を確認する
厨房、手洗い器、シャンプー台、洗面台、トイレ、バックヤードの流しなどは、見た目の配置だけで決めると後で調整が難しくなることがあります。水を使う設備は、給水管だけでなく排水管の位置ともセットで考える必要があります。
たとえば、シンクを店内奥に移動したい場合でも、既存の排水管が入口側にしかないと、床下や壁内に新しく排水経路を作る必要が出るかもしれません。排水は自然に流れる勾配が必要なため、単に配管を延ばせばよいとは限らない点に注意が必要です。
既存の給水管・排水管をそのまま使えるとは限らない
店舗物件では、前テナントの厨房設備や洗面設備が残っている場合があります。しかし、既存設備があるからといって、現在の計画にも合うとは限りません。
確認したいのは、少なくとも次のような項目です。
既存設備で確認したいポイント
- 給水管・排水管の位置が希望レイアウトと合っているか
- 既存の排水管に詰まりや劣化の疑いがないか
- 床下や壁内に配管を通すスペースがあるか
- 給湯設備の能力が業種に合っているか
- 管理会社や貸主の工事承認が必要か
確認不足は追加費用・工期遅れ・営業開始遅れにつながる
水回りの確認が遅れると、内装工事が進んだあとに床や壁を開け直すことになる場合があります。特に、排水管の位置変更、グリース阻集器の設置、床上げ、配管経路の変更が必要になると、費用だけでなく工期にも影響します。
店舗改装では、デザイン・厨房設備・美容設備・電気工事・空調工事など多くの要素が同時に動きます。その中でも給排水工事は、営業許可や設備基準に関係する場合があるため、早い段階で確認しておくことが大切です。
店舗改装で必要になりやすい給水・排水工事の種類
店舗改装で必要になる水道工事は、単に蛇口を増やすだけではありません。給水、排水、給湯、既存設備の撤去、配管の移設、床や壁の復旧などが関係する場合があります。
ここでは、店舗改装でよく検討される給排水工事を整理します。
給水工事は水栓・手洗い・厨房・洗面設備の位置で変わる
給水工事とは、店舗内で水を使う設備に水を送るための工事です。蛇口、手洗い器、厨房シンク、洗面台、トイレ、シャンプー台などを新設・移設する場合に必要になることがあります。
飲食店では、厨房シンク、手洗い設備、食器洗浄機、製氷機など、水を使う機器が複数になることがあります。美容室では、シャンプー台や洗面設備の位置が給水工事に大きく関係します。
既存の給水管から分岐できる場合もありますが、水量や配管の状態によっては、追加工事が必要になる場合もあります。水圧や同時使用の状況も含めて確認しましょう。
排水工事は床下・壁内・既存配管の状態が重要
排水工事では、使用した水をどこへ流すかを確認します。排水管は水が自然に流れるように勾配を確保する必要があるため、給水よりも配置の自由度が低い場合があります。
排水管の位置が希望する設備位置から遠い場合、床を上げて配管スペースを確保することがあります。ただし、床上げをすると店内の段差、天井高、バリアフリー性、内装デザインに影響するため、早めに内装計画と合わせて確認することが重要です。
給湯設備は業種と使用量に合わせて検討する
飲食店や美容室では、水だけでなくお湯の使用量も重要です。厨房での洗浄、美容室のシャンプー、サロンの手洗いなど、業種によって必要な湯量や使用時間帯が変わります。
給湯器の交換だけを考えるのではなく、給湯配管の長さ、同時使用の有無、排水設備、換気や設置場所の条件もあわせて確認しましょう。給湯器単体の記事に広げすぎず、店舗改装では「水回り全体の計画の一部」として考えるのが現実的です。
既存設備で足りない場合は引き込み工事が関係することもある
多くの店舗改装では、既存の給水・排水設備を活かせるかどうかが最初の検討になります。ただし、物件の状況によっては、既存設備だけでは計画に合わない場合もあります。
建物への水道引き込み自体が不足している、用途変更で必要な設備が大きく変わる、既存管の能力が足りないといったケースでは、より大きな工事が必要になる可能性があります。詳しくは、水道引き込み工事が必要になるケースもあわせて確認してください。
飲食店・美容室・小規模店舗で確認ポイントは変わる
店舗改装の給排水工事は、業種によって確認すべきポイントが変わります。同じ「水回り工事」でも、飲食店、美容室、小規模店舗では、使う水の量、排水の内容、必要な設備、確認先が異なります。
飲食店
厨房シンク、手洗い、給湯、油脂を含む排水、グリース阻集器などの確認が重要です。
美容室・サロン
シャンプー台、給湯量、排水経路、開設届や施設基準に関する事前相談が重要です。
小規模店舗
手洗い、トイレ、バックヤードの流し、既存設備をどこまで使えるかの確認が中心です。
飲食店は厨房排水・手洗い・グリース阻集器の確認が重要
飲食店の改装では、厨房設備と排水計画が特に重要です。シンク、手洗い、食器洗浄機、製氷機、給湯設備など、水を使う設備が多くなりやすいため、レイアウトと配管計画を一緒に考える必要があります。
また、油脂を含む排水が出る場合は、グリース阻集器の確認が必要になることがあります。名古屋市上下水道局は、飲食店などの汚水のように油脂など排水管を損傷する恐れのある物質を含む汚水を下水道に排水する場合、建築基準法施行令により阻集器を設ける必要があると案内しています。詳しくは名古屋市上下水道局のグリース阻集器に関する案内を確認してください。
⚠️ グリース阻集器は自己判断で決めない
グリース阻集器の必要性や容量は、業態、排水内容、厨房設備、申請内容によって確認が必要です。「小さな飲食店だから不要」「前の店で使っていたから大丈夫」と決めつけず、指定工事店や関係窓口に確認しましょう。
美容室・サロンは水回り設備の配置と保健センター相談を確認する
美容室や理容所では、シャンプー台、手洗い、給湯設備、排水経路の確認が重要です。シャンプー台は使用水量が多くなりやすく、給湯能力や排水の流れが不足すると、営業開始後の使い勝手に影響します。
名古屋市では、理容所・美容所の新規開設や建て替えなどについて、営業施設の基準があるため、図面等を提示して事前に管轄の保健センターで指導を受けるよう案内されています。詳しくは名古屋市の理容所・美容所 開設届の案内を確認してください。
小規模店舗でも手洗い・トイレ・バックヤード排水は見落とさない
物販店、小規模サロン、事務所兼店舗などでは、大きな厨房やシャンプー台がないため、給排水工事を軽く考えてしまうことがあります。しかし、手洗い、トイレ、清掃用流し、バックヤードの排水などは、店舗運営に欠かせない設備です。
また、業種変更を伴う場合は、前テナントでは問題なかった設備でも、新しい使い方には合わない可能性があります。小規模店舗でも、物件契約前またはレイアウト確定前に、水回り設備の有無と状態を確認しておきましょう。
排水管の位置・太さ・勾配・グリース阻集器を確認する
店舗改装で見落としやすいのが、排水管の条件です。給水は比較的ルートを取りやすい場合がありますが、排水は勾配が必要になるため、設備の配置に制約が出やすい部分です。
特に飲食店や美容室では、営業開始後に排水不良や詰まりが起きると、営業そのものに影響することがあります。計画段階で排水条件を確認しておくことが重要です。
排水管の位置によって厨房やシャンプー台の配置が制限される
排水管の位置が希望する設備から離れている場合、床下に配管を通す、床を上げる、別ルートを検討するなどの対応が必要になることがあります。
たとえば、厨房を客席から見える位置に移したい場合や、シャンプー台を複数台設置したい場合、既存排水管との距離や経路を確認しないまま進めると、あとから大きな変更が必要になるかもしれません。
排水勾配と配管径は現地調査で確認する
排水勾配とは、排水が自然に流れるように配管につける傾きのことです。勾配が不足すると、水が流れにくくなったり、汚れが管内に残りやすくなったりする可能性があります。
また、既存の排水管の太さや状態も重要です。新しい設備を増やす場合、既存管で十分かどうかは現地確認が必要です。図面だけでは分からないこともあるため、床下や点検口、既存設備の位置を含めて確認しましょう。
グリース阻集器は「必要かどうか」から確認する
飲食店では、グリース阻集器、いわゆるグリストラップが話題になりやすいですが、まず確認すべきなのは「今回の業態・設備・排水内容で必要になるか」です。
名古屋市上下水道局の案内では、名古屋市としてグリース阻集器の容量等に関する独自基準はないものの、排水設備工事の申請に際して、阻集器の構造図と容量算出書を添付して確認を行うとされています。詳しくは名古屋市上下水道局の阻集器に関するFAQを確認してください。
保健所・管理会社・指定工事店に確認するタイミング
店舗改装では、水道工事業者だけでなく、保健所、管理会社、貸主、指定工事店への確認が必要になる場合があります。特に飲食店や美容室は、営業許可や開設届に関わるため、工事後ではなく工事前の相談が重要です。
飲食店は工事着工前に保健センターへ図面相談する
名古屋市では、食品取扱施設の営業許可について、営業内容に応じて必要な許可の種類と施設基準が異なるため、施設の工事着工前に設計図面等を管轄の保健センターに持参して相談するよう案内されています。
また、営業許可申請書は少なくとも営業開始予定日の20日前までに提出するよう案内されています。実際の手続きや必要書類は業種・営業内容によって変わるため、詳しくは名古屋市の食品取扱施設 営業許可の案内を確認してください。
美容室・理容所も図面段階で保健センター確認を行う
美容室や理容所も、設備の位置や施設基準に関する確認が必要になる場合があります。名古屋市では、営業施設の基準があるため、図面等を提示して事前に管轄の保健センターで指導を受けるよう案内されています。
開設届については、営業開始予定日の7日前には提出するよう案内されています。ただし、具体的な確認事項は施設内容によって異なるため、計画段階で管轄の保健センターへ相談しましょう。
管理会社・貸主には配管変更と共用部への影響を確認する
テナント物件では、建物全体の排水管や共用部に影響する工事が制限されている場合があります。床の穴あけ、共用排水管への接続、防水工事、工事時間、騒音、原状回復範囲などは、管理規約や賃貸借契約に関係することがあります。
そのため、水道工事業者に見積もりを依頼する前に、管理会社や貸主へ次の点を確認しておくと進めやすくなります。
- 床や壁を開口してよい範囲
- 共用排水管への接続条件
- グリース阻集器や大型設備の設置可否
- 工事可能な曜日・時間帯
- 工事申請書や図面提出の要否
- 退去時の原状回復範囲
給水・排水工事は指定工事店の確認も重要
名古屋市上下水道局では、宅地内の給水装置の工事は市指定給水装置工事事業者へ、排水設備・水洗便所の築造工事などは市指定排水設備工事店へ依頼するよう案内しています。工事内容によって必要な対応が変わるため、依頼前に確認しましょう。
指定工事店の考え方や水道工事に関わる資格について詳しく知りたい場合は、水道工事に必要な資格や指定業者の確認方法も参考にしてください。
水道工事業者に相談する前に準備したい資料と見積もり確認
水道工事業者に相談するときは、物件の状況や希望レイアウトが分かる資料を用意しておくと、話が進めやすくなります。情報が不足していると、見積もりが概算になりやすく、後から追加工事が発生する可能性もあります。
図面・現地写真・希望レイアウトを用意する
最初の相談では、完璧な図面がなくても構いません。ただし、次のような資料があると、給排水工事の範囲を確認しやすくなります。
相談前に準備したい資料
- 物件の平面図または手書きの簡単なレイアウト
- 既存のシンク、トイレ、洗面台、排水口の写真
- 新しく設置したい厨房機器・シャンプー台・手洗い器の位置
- 前テナントの業種や残置設備の情報
- 管理会社から受け取った工事条件や規約
- 保健センターへ相談済みの場合は、その確認内容
飲食店の場合は、厨房機器の種類や配置が分かる資料があると便利です。美容室の場合は、シャンプー台の台数、給湯器の設置場所、排水経路の希望を整理しておきましょう。
見積もりは工事範囲・復旧範囲・申請対応を分けて確認する
水道工事の見積もりでは、配管工事だけでなく、床や壁の解体・復旧、設備の撤去、申請や図面対応が含まれているかを確認しましょう。
特に店舗改装では、内装業者、水道工事業者、設備業者の工事範囲が分かれやすいため、「どこまでが誰の作業か」を明確にしておくことが大切です。
| 確認項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 配管工事の範囲 | 給水・排水・給湯のどこまで含まれるかを確認するため |
| 床・壁の復旧 | 配管後の内装復旧が別費用になる場合があるため |
| 申請・図面対応 | 保健センターや管理会社への提出資料が必要になる場合があるため |
| 追加工事の条件 | 現地調査後に費用が変わる可能性を把握するため |
費用感や見積もりの見方をさらに確認したい場合は、水道工事の費用相場と見積もり時の注意点も参考にしてください。
複数見積もりで金額だけでなく説明内容を比較する
名古屋市上下水道局も、工事・修繕の代金は工事店によってさまざまであり、できるだけ複数の工事店から見積もりを取って納得したうえで契約することを案内しています。指定工事店の検索については、名古屋市上下水道局の工事店検索を確認できます。
見積もりを比較するときは、金額だけで判断せず、現地確認の丁寧さ、排水条件の説明、管理会社や保健センターへの確認を前提にしているかも見ておきましょう。
⚠️ 安さだけで決めない
店舗改装の水道工事は、営業開始後の使いやすさやトラブル防止に関わります。見積金額が安くても、排水管の確認、復旧範囲、申請対応、追加工事条件が曖昧な場合は、契約前に内容を確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
店舗改装では必ず給排水工事が必要ですか?
必ず必要とは限りません。既存の水回り設備をそのまま使える場合は、大きな給排水工事が不要なこともあります。ただし、シンク・手洗い・シャンプー台・厨房設備の新設や移設がある場合は、給水管や排水管の工事が必要になることがあります。
飲食店ではグリース阻集器が必ず必要ですか?
油脂を含む排水が出る場合は確認が必要です。業態や厨房設備、排水内容によって判断が変わるため、「必ず必要」「必ず不要」と自己判断せず、指定工事店や関係窓口に確認しましょう。
美容室の改装では何を確認すべきですか?
シャンプー台の位置、給湯量、排水経路、既存配管の状態、保健センターへの事前相談、開設届や施設基準に関係する図面確認を行いましょう。特に水回り設備の配置は、内装レイアウトを決める前に確認することが大切です。
内装業者に任せておけば大丈夫ですか?
内装業者が水道工事業者を手配する場合もありますが、給排水設備、指定工事店、保健センター相談、管理会社への提出資料などは別途確認が必要になることがあります。見積もりの範囲と担当区分を確認しましょう。
水道工事業者へ相談する前に何を準備すればよいですか?
物件図面、希望レイアウト、既存設備の写真、業種、設置予定の水回り設備、管理会社の工事条件を用意しておくと相談が進めやすくなります。飲食店や美容室の場合は、保健センターへの相談状況も共有できるようにしておきましょう。
まとめ:店舗改装の給排水工事は着工前の確認が重要
この記事では、店舗改装で必要になる給排水工事の基本と、飲食店・美容室・小規模店舗で確認すべきポイントを解説しました。
- 内装レイアウトより先に水回りを確認する:給水管・排水管の位置によって、厨房やシャンプー台の配置が制限される場合があります。
希望レイアウトを決める前に、既存配管と排水経路を確認しましょう。
- 業種によって確認ポイントが変わる:飲食店は厨房排水やグリース阻集器、美容室はシャンプー台や保健センター相談が重要です。
同じ店舗改装でも、必要な設備や確認先は業種ごとに異なります。
- 保健所・管理会社・指定工事店への確認を早めに行う:工事後に条件が合わないと、追加工事や営業開始の遅れにつながることがあります。
図面段階で相談し、管理規約や申請条件を確認しておきましょう。
- 見積もりは金額だけでなく工事範囲を見る:配管工事、床・壁の復旧、申請対応、追加工事条件を分けて確認することが大切です。
複数見積もりを取り、説明内容まで比較しましょう。
店舗改装の給排水工事は、見た目には分かりにくい部分ですが、営業開始後の使いやすさやトラブル防止に直結します。まずは物件図面、現地写真、希望レイアウト、管理会社の条件を整理し、早い段階で水回りの確認を進めましょう。

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