受水槽などの貯水槽の有効容量が10立方メートルを超える建物は、水道法上の簡易専用水道にあたり、設置者は水槽の清掃を毎年1回以上行い、登録を受けた検査機関などによる法定検査を毎年1回以上受ける必要があります。名古屋市内の建物なら、まず貯水槽の有効容量を図面や管理会社の資料で確認し、該当するかどうかを施設のある区を担当する保健センター環境薬務課で確かめてください。
- 自分の建物の貯水槽が簡易専用水道にあたるかどうかの確認方法
- 清掃と法定検査の頻度、誰が行うのか、検査機関や清掃業者の探し方
- 名古屋市での届出・相談先と、10立方メートル以下の貯水槽の扱い
貯水槽の清掃や点検は、高所や密閉された空間での作業になり、衛生上の危険もあります。この記事は自分で作業する方法ではなく、専門業者へ依頼することを前提に、管理者が押さえておきたい法定の管理の基本を整理しています。内容は2026年10月時点で確認した公式情報に基づきます。
簡易専用水道にあたる貯水槽かどうかの確認方法
名古屋市は、貯水槽の有効容量が10立方メートルを超える施設を簡易専用水道としています。詳しい内容は名古屋市の「簡易専用水道」のページで案内されています。
有効容量10立方メートル超が目安になる
簡易専用水道に該当するかどうかは、建物の広さや戸数ではなく、貯水槽の有効容量で見分けます。名古屋市の案内では、有効容量が10立方メートルを超えると簡易専用水道となり、設置者に水道法による衛生管理が義務付けられています。受水槽と高置水槽の両方がある建物や、水槽が複数ある建物で容量をどう数えるかは、保健センターで確認すると確実です。
該当するかを確かめる手順
- 設備図面や管理会社の資料で、貯水槽の有効容量を確認します。
- 有効容量が10立方メートルを超える場合は、簡易専用水道として清掃と法定検査の対象になる前提で、これまでの実施状況と記録を確認します。
- 容量が分からない、水槽の構成が複雑で判断できないといった場合は、施設のある区を担当する保健センターの環境薬務課に確認します。
設置者にあたるのは誰か
法律上の管理や検査の義務は設置者に課されています。ビルではオーナーや管理者、分譲マンションでは管理組合などが該当する場合がありますが、どの立場が設置者にあたるかは建物ごとに異なります。管理会社に清掃や検査の手配を任せている場合も、義務を負うのは設置者である点を前提に、委託契約の範囲を確認しておきましょう。
なお、この記事で扱うのは飲料水を供給する給水用の貯水槽です。地下の排水槽は別の設備にあたり、手続きや臭気対策は地下排水槽がある建物の排水工事で確認すべき手続き・臭気対策で整理しています。
清掃と法定検査の頻度・実施者
清掃は毎年1回以上、法定検査も毎年1回以上です。清掃は専門業者への依頼が名古屋市から推奨されており、法定検査は登録を受けた検査機関などが行います。
| 項目 | 頻度 | 根拠 | 実施者・依頼先 |
|---|---|---|---|
| 水槽の清掃 | 毎年1回以上、定期に実施 | 水道法施行規則第55条 | 設置者が手配。専門業者への依頼が推奨されています |
| 法定検査 | 毎年1回以上、定期に受検 | 水道法第34条の2第2項、水道法施行規則第56条 | 登録を受けた検査機関など |
表の根拠は、水道法(e-Gov法令検索)と水道法施行規則(e-Gov法令検索)で確認できます。法令は改正されることがあるため、実際の手続きの前に最新の条文と名古屋市の案内を確認してください。
清掃を含む管理基準の内容
水道法施行規則第55条の管理基準は、清掃を含めて次の内容です。
- 水槽の掃除を毎年1回以上、定期に行うこと
- 水槽の点検など、有害物や汚水などによって水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること
- 給水栓における水の色、濁り、臭い、味などから水に異常を認めたときは、水質基準に関する省令の表の事項のうち必要なものについて検査を行うこと
- 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに給水を停止し、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること
⚠️ 貯水槽の清掃・点検は自分で行わない
貯水槽の内部や周辺は、高所や密閉された空間での作業になり、衛生上の危険もあります。清掃や点検は専門業者に依頼し、管理者は実施日の調整、結果の確認、記録の保管を担当する形が基本です。
法定検査を受けるときの考え方
法定検査は、地方公共団体の機関、または登録を受けた者から受けることが水道法第34条の2第2項で定められています。名古屋市の案内では、建築物における衛生的環境の確保に関する法律の適用を受ける施設は、施設での検査に代えて書類提出による検査を選べるとされています。自分の施設が該当するかどうかは、検査機関や保健センターに確認してください。検査の方法は、水道法施行規則第56条第2項により国土交通大臣(水質の検査に関する事項は環境大臣)が定めるとされています。
日常の点検・水質検査と異常時の対応
法定の清掃と検査とは別に、名古屋市は要綱に基づき、日常の保守点検と水質検査を求めています。水質検査は推奨されており、案内されている内容は次のとおりです。
- 週1回以上:水の色、濁り、臭い、味に異常がないかの確認と、遊離残留塩素が0.1mg/L以上であることの確認
- 年2回以上:pH値、一般細菌、大腸菌、鉄及びその化合物、亜鉛及びその化合物の5項目の検査(建築物飲料水水質検査業者または登録水質検査機関への依頼が推奨されています)
飲料水に異常があった場合、名古屋市の案内では、直ちに給水を停止し、利用者や保健センター環境薬務課、水道営業所などに知らせることとされています。給水を再開する前に、原因の除去と水質検査を行って安全を確認します。
検査機関と清掃業者の探し方・依頼前の確認点
検査機関は、名古屋市の簡易専用水道のページで案内されている愛知県を業務区域とする登録機関の名簿から探せます。清掃業者は、同じページで案内されている名古屋市の「小規模貯水槽衛生対策事業協力業者名簿」が参考になります。
検査機関を選ぶときの確認点
検査を依頼する機関は、登録を受けているかどうかを名簿で確認します。なお、名古屋市の案内ページには「厚生労働大臣の登録」と書かれていますが、2026年10月時点の水道法第34条の2第2項では「国土交通大臣及び環境大臣の登録を受けた者」と定められています。水道行政の所管が移管されたことに伴う表記の違いとみられるため、疑問があるときは名古屋市の環境薬務課に確認してください。
清掃業者・検査機関に依頼する前のチェックリスト
料金の安さだけで決めず、対応範囲や説明の分かりやすさも比べましょう。見積もりでは、次の点を書面で確認しておくと、あとからの食い違いを防ぎやすくなります。
依頼前に確認したい項目
- 清掃や検査にかかる費用の内訳と、追加費用が発生する条件
- 作業の日時、所要時間、作業中の断水の有無とその時間
- 清掃後や検査後に受け取れる報告書や記録の内容
- キャンセル料や日程変更の取り扱い
- 検査機関の場合は、登録を受けていることの確認方法
作業日に断水が必要かどうかは、依頼先に事前に確認してください。断水時の水の確保やトイレの使い方は、水道工事で断水するときの準備とトイレの使い方も参考になります。
図面と管理記録を保管しておく
名古屋市の要綱では、設備や系統の図面と貯水槽周囲の配置図は永久保存、清掃や点検などの管理記録は関係書類とあわせて5年間の保存とされています。検査や相談の場面で提示を求められることがあるため、管理会社や前任の管理者から引き継げているかを早めに確認しておくと安心です。
名古屋市での届出と相談先
届出先も相談先も、施設のある区を担当する保健センターの環境薬務課です。総合的な問い合わせ先として、名古屋市健康福祉局生活衛生部環境薬務課の環境衛生担当(電話052-972-2644)も案内されています。
設置・変更・廃止の届出
名古屋市では、簡易専用水道の設置届、変更届、廃止届(該当しなくなった場合を含む)を、保健センターの環境薬務課へ届け出ます。ただし、導水装置工事施行届内訳書兼給水設備使用開始届を名古屋市上下水道局に提出済みの場合は、これらの届出は不要とされています。提出方法や様式、提出期限の扱いは、名古屋市の簡易専用水道に関する届出のページで確認してください。このページには提出期限の記載がないため、時期は保健センターに確認するのが安全です。
区ごとの相談窓口
名古屋市では、住居衛生などの窓口が千種・中村・中・南の4つの保健センターに集約されており、担当区は次のとおりです。電話番号は変更されることがあるため、最新の情報は名古屋市の「各保健センター環境薬務課」のページで確認してください。
| 保健センター | 担当区 | 住居衛生の担当の電話番号 |
|---|---|---|
| 千種保健センター | 千種区、昭和区、瑞穂区、名東区 | 052-753-1973 |
| 中村保健センター | 西区、中村区、熱田区、中川区 | 052-433-3064 |
| 中保健センター | 東区、北区、中区、守山区 | 052-265-2256 |
| 南保健センター | 港区、南区、緑区、天白区 | 052-614-2862 |
表は、各センターの住居衛生の担当窓口です(南保健センターのみ、営業施設等の窓口とは別の番号です)。電話をかける前に、貯水槽の有効容量、設置場所、これまでの清掃と検査の実施時期が分かる資料を手元に用意しておくと、話がスムーズです。
有効容量10立方メートル以下の貯水槽の扱い
有効容量が10立方メートル以下の貯水槽は、水道法の簡易専用水道にあたらず、水道法に基づく法定検査の対象にもなりません。ただし、名古屋市は「小規模貯水槽」として、要綱で独自の基準を定めています。
簡易専用水道との違い
| 項目 | 簡易専用水道(10立方メートル超) | 小規模貯水槽(10立方メートル以下) |
|---|---|---|
| 水道法上の位置づけ | 管理基準と法定検査の義務がある | 水道法では維持管理基準が定められていない |
| 清掃 | 毎年1回以上(水道法施行規則第55条) | 専門の業者による清掃を、少なくとも年に1回行うよう推奨 |
| 検査・報告 | 登録を受けた検査機関などによる法定検査を毎年1回以上 | 清掃後に環境薬務課へ清掃実施の報告(電子申請または報告書の提出) |
清掃実施報告と清掃済証
小規模貯水槽では、清掃後に、名古屋市の環境薬務課へ電子申請または貯水槽清掃実施報告書の提出で報告します。清掃後は、貯水槽の壁面など見やすい場所に清掃済証を貼るよう求められており、水の利用者に清掃を実施したことが分かるようにするためです。報告の期限や頻度の細かい取り扱いは、名古屋市の案内に記載がないため、小規模貯水槽の清掃実施報告制度のページや環境薬務課で確認してください。
衛生管理の基本は同じ
名古屋市の貯水槽の衛生管理のページでは、小規模貯水槽についても、年1回以上の専門業者による清掃、設備の点検、水質検査、管理を行う担当者の決定、図面や管理記録の保管が案内されています。手入れを怠ると、藻類や虫の発生、さびによる赤水などが起こるおそれがあるとされています。容量が小さいから何もしなくてよい、とは考えないようにしましょう。
管理を怠った場合の影響と、店舗・マンションで先に確認すること
管理が適正でない場合は、行政による指導や命令の対象になることがあります。検査を受けない場合の罰則も水道法に定められているため、清掃と検査の実施状況は早めに確認しておきましょう。
行政による指導・命令と罰則
名古屋市の案内によると、保健センターは必要に応じて管理状況の報告を求めたり、職員が現地を確認したりすることがあります。管理が不適正な場合は、指導票などによる改善指導が行われ、従わない場合は清掃や設備補修などの改善命令、さらに利用者の健康を害するおそれがあるときは、改善までの給水停止命令が出されることがあります。
水道法の条文では、第36条第3項で、管理基準に適合していないと認められるときに清掃その他の必要な措置を指示できると定められています。また、第54条は、第34条の2第2項の検査の義務に違反した者を100万円以下の罰金とすると定めています。実際にどのような対応になるかは個別の事情によるため、不安がある場合は早めに保健センターへ相談してください。
店舗の営業への影響は関係機関で確認する
飲料水に異常があり、人の健康を害するおそれがあると分かったときは、直ちに給水を停止する必要があります。給水が止まった場合に営業にどの程度影響するかは、業種や施設の設備によって異なります。営業を続けられるかどうかは断定できないため、保健所や保健センターなど関係機関に確認してください。
台風・大雨の後や管理の引き継ぎで確認すること
名古屋市は、地震、凍結、大雨などで貯水槽が汚染されるおそれがある場合も、速やかに点検して安全を確認してから給水するよう案内しています。台風や大雨で受水槽が壊れたときの初期対応は、台風・大雨で受水槽が壊れたら?初期対応と点検・連絡先の判断基準で解説しています。管理者や管理会社が変わった場合は、直近の清掃日と検査日、報告書の保管先を引き継ぎ時に確認しておくと、次の実施時期を見落としにくくなります。
よくある質問(FAQ)
自分の建物の貯水槽が簡易専用水道にあたるかどうかは、どこに確認すればよいですか。
名古屋市内の建物なら、施設のある区を担当する保健センターの環境薬務課に確認できます。まず設備図面や管理会社の資料で貯水槽の有効容量を調べ、10立方メートルを超えるかどうかを把握してから問い合わせると、話が進みやすくなります。
清掃だけ行って、法定検査は受けなくてもよいですか。
いいえ、簡易専用水道では清掃と法定検査の両方が必要です。清掃は毎年1回以上(水道法施行規則第55条)、検査も毎年1回以上(水道法第34条の2第2項、水道法施行規則第56条)とされています。
有効容量が10立方メートル以下の貯水槽は、何もしなくてよいのですか。
いいえ、水道法の簡易専用水道にはあたりませんが、名古屋市は専門業者による年1回以上の清掃を推奨し、清掃後に環境薬務課へ報告する仕組みを設けています。具体的な手続きは名古屋市の案内で確認してください。
貯水槽の清掃を自分たちで行ってもよいですか。
自分たちで行うことはおすすめしません。貯水槽の作業は高所や密閉された空間になり、衛生上の危険もあるため、名古屋市の案内でも専門業者への依頼が推奨されています。管理者は、業者の手配と実施内容の確認、記録の保管を担当するのが基本です。
テナントとして入居している店舗でも、清掃や検査を自分で手配する必要がありますか。
法律上の管理や検査の義務は設置者に課されているため、多くの場合はまず誰が設置者にあたるかの確認が必要です。清掃や検査の手配、費用の負担は、賃貸借契約や管理規約で異なることがあるため、オーナーや管理会社に実施状況と分担を確認してください。
まとめ:簡易専用水道の清掃と法定検査の基本
名古屋市では、貯水槽の有効容量が10立方メートルを超える施設が簡易専用水道とされ、設置者には清掃を毎年1回以上、法定検査を毎年1回以上受けることが求められています。
- 該当の確認:貯水槽の有効容量を図面などで確認し、不明な点は保健センターの環境薬務課に確認します。
- 清掃と検査:清掃は専門業者への依頼が推奨され、法定検査は登録を受けた検査機関などが行います。
- 10立方メートル以下:簡易専用水道にはあたりませんが、名古屋市の要綱に沿った清掃と報告が案内されています。
- 記録と届出:図面と管理記録を保管し、届出の要否は保健センターで確認します。
まずは貯水槽の有効容量と、直近の清掃日・検査日を確認し、必要に応じて施設のある区を担当する保健センターの環境薬務課へ相談してください。

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