中古住宅の購入前は、築年数だけで配管の状態を判断せず、売主や不動産会社に配管の更新履歴と水漏れの有無を確認するのが基本です。必要に応じて、建物状況調査(インスペクション)や、特約で給排水管路を対象にできる場合がある既存住宅売買瑕疵保険の活用も検討します。ただし床下や壁内など見えない範囲は確認できないことがあるため、調べてもらえる範囲を事前に確認してください。購入後の水道工事の費用は、金額を先に決めつけず、現地を確認した見積もりで把握します。
- 内見や契約前に自分で確認できること、売主・不動産会社への質問
- インスペクションと瑕疵保険で、給排水の配管がどこまで確認できるか
- 購入後の水道工事の費用を、見積もりでどう確認するか
内見時に蛇口や排水を操作して確認する場合は、所有者である売主の了承を得て行い、設備を壊さないよう注意してください。配管を自分で調べたり外したりする作業は、この記事では扱いません。
築年数だけでは配管の状態を判断できない理由
配管の材質、施工時期、これまでの修繕や更新の内容は物件ごとに異なります。築年数は確認の入口にとどめ、更新履歴と水漏れの有無という事実で判断することが大切です。
築年数は目安にとどめ、履歴と現況を確認する
国土交通省が平成25年6月にまとめた「既存住宅インスペクション・ガイドライン」は、中古住宅について、新築時の品質や性能の違いに加えて、その後の維持管理や経年劣化の状況によって、物件ごとに品質に差があると整理しています。同じ築年数でも、配管の状態や更新の有無は物件ごとに違う可能性があるということです。
キッチンや浴室の設備が新しくなっていても、壁の中や床下の配管まで更新されたとは限りません。リフォーム済みと説明された場合は、どこからどこまでの工事だったのかを具体的に確認します。
築年数が古い物件で気にしたい鉛製給水管
国土交通省の「鉛製給水管の解消に向けた対応方針」(令和8年1月30日取りまとめ)によると、鉛製給水管は近代水道の創設期から1980年代後半まで全国的に使用されてきました。同方針は、鉛製給水管の使用により鉛濃度の水質基準を超過するおそれがあることなどの周知を強化するとしており、水道事業者が鉛製給水管の利用を停止した時期を一覧にして公表することも示しています。この一覧は同ページから確認できます。
築年数が古い物件では、給水管に鉛製が使われている可能性を念頭に置き、更新履歴や図面から材質を確認してもらうと判断材料になります。ただし、実際に鉛製が残っているかどうかは物件ごとの確認が必要で、築年数だけで決めることはできません。不明な場合は、水道事業者(名古屋市内は名古屋市上下水道局)への問い合わせ方法を、不動産会社に確認してください。
内見で確認したい水まわりのチェックポイント
内見では、水漏れの跡、赤水、排水の流れなど、見える範囲の兆候を記録します。兆候があっても原因は特定できず、兆候がなくても配管の内部は分からないため、記録した内容は売主への質問につなげます。
見える範囲で確認したい兆候
前述のガイドラインは、給排水まわりの劣化として、給水管の発錆による赤水、給水管・排水管の水漏れ、排水管の詰まり(排水の滞留)を検査項目に挙げ、確認方法を目視、触診、通水としています。内壁や天井の雨漏り・漏水の跡も検査項目です。内見でも、同じ観点が参考になります。
内見で記録したいチェックリスト
- 洗面台やキッチンの下、浴室まわりの床や壁に、水のしみ、変色、カビがないか
- 蛇口を開けた直後に、赤みや濁りのある水が出ないか
- 蛇口ごとの水の出方に大きな差がないか、極端に弱くないか
- 排水したときに、水が溜まったままになったり、流れが極端に遅かったりしないか
- 水まわりの近くの天井、壁、床に、雨漏りや水漏れのような跡がないか
- 気になる点は、場所と状況を写真とメモに残し、不動産会社を通じて売主に確認する
蛇口や排水を操作するときの注意
蛇口や排水を操作して確認する場合は、あらかじめ所有者である売主の了承を得てから行い、設備を壊さないよう丁寧に扱います。
⚠️ 配管を自分で調べたり外したりしないでください
収納内の部品を外す、床や壁を開ける、配管に触れて動かす、といった作業は行わないでください。水漏れのような異変に気づいたときは、操作を止めて触らず、不動産会社へ伝えます。水漏れが広がりそうな場合や、マンションで階下への影響が心配される場合は、すぐに不動産会社や管理会社へ連絡してください。
内見だけでは分からない範囲
床下、壁の中、地中の配管は、内見では確認できません。後述のとおり、調査を頼んでも、点検口から見える範囲など確認できる範囲には限りがあります。そのため、見えない部分は、更新履歴、過去の修繕記録、調査の範囲の確認で補います。
売主・不動産会社に確認したい質問と書類
配管の更新履歴、水漏れや修繕の履歴、関連書類の有無は、売主と不動産会社に確認します。回答は、口頭だけで終わらせず、書面やメールなど後から見返せる形で残してもらいます。
聞いておきたい質問
次の質問は、内見で気になった点と合わせて、不動産会社を通じて売主に伝えます。
| 質問 | 確認先 | 聞く理由 |
|---|---|---|
| 給水管・排水管・給湯管を交換または補修したことはあるか。時期、範囲、施工会社はどこか | 売主(不動産会社経由) | 築年数と実際の更新状況が一致しない場合があるため |
| これまでに水漏れ、つまり、赤水はあったか。いつ、どのように対応したか | 売主 | 現在の状態と過去の不具合を合わせて把握するため |
| リフォームの範囲は設備の交換だけか、配管も含むか | 売主 | 設備の交換と配管の更新は別の工事のため |
| 給水管の材質が分かる図面や工事記録はあるか | 売主・不動産会社 | 鉛製給水管などを確認する材料になるため |
| (マンション)専有部分と共用部分の配管の区分、共用部分の配管の更新履歴と更新予定 | 管理会社・管理組合(不動産会社経由) | 工事の範囲と費用負担の考え方に関わるため |
回答に「分からない」が多い場合は、分からないという事実自体を記録し、調査の依頼や見積もりで補います。取引上の書面の扱いや、売主から聞いた内容の位置づけは、宅地建物取引業者に確認してください。
あわせて集めたい書類
ガイドラインや国土交通省の手引きでは、調査を依頼するときに参考になる書類として、新築時の設計図書、改修工事の記録、建築確認済証・検査済証、住宅性能評価書などが挙げられています。マンションでは、管理規約や長期修繕計画も挙げられています。リフォームの内訳書などに、配管工事の内容が書かれていないかも確認します。
書類がない場合は、ないことを確認して記録し、調査や見積もりで補えるかを検討します。
インスペクションと瑕疵保険で、配管はどこまで確認できるか
給排水の配管がどこまで確認されるかは、調査の種類と契約内容で変わります。依頼前に、どの部位をどの方法で調べるのか、調べられない範囲は何かを、書面で確認してください。
建物状況調査の対象と、給排水管の扱い
「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」(国土交通省、令和6年4月作成)によると、建物状況調査は、国の登録を受けた機関の講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、目視や計測、非破壊検査で行うものです。売主・買主のどちらが実施してもかまいませんが、買主が実施する場合は売主の同意が必要です。
手引きの調査対象には「排水管」の記載がありますが、雨水を排除するための排水管のうち、屋根や外壁の内部、または屋内にある部分とされています。生活排水の配管や給水管が標準で含まれると読み取らないよう注意が必要です。国土交通省の「改正宅地建物取引業法に関するQ&A」(平成29年6月1日現在)でも、給排水管路や給排水設備は建物状況調査の調査対象ではないものの、オプション調査として依頼できる場合があるとされています。
給排水を確認したい場合は、オプション調査の有無と内容、追加費用、調べる方法を依頼先に確認します。ガイドラインは、ファイバースコープカメラなどの非破壊検査機器を使う検査は追加費用が生じるため、追加的に実施する扱いを示しています。こうした追加の検査に対応しているかも、依頼先に確認してください。
手引きでは、調査にかかる時間は物件の規模にもよりますが1~3時間程度、費用は物件の規模のほか調査実施者によっても異なり、6万円程度~が目安とされています。購入を検討中の物件で調査を希望するときは、宅地建物取引業者に伝え、調査実施者のあっせんを相談します。重要事項説明の対象となる建物状況調査は、実施から1年以内のものとされています。
調査でも確認できない範囲がある
ガイドラインでは、検査の対象は、足場等を組まずに歩行その他の通常の手段で移動できる範囲を基本とし、戸建て住宅の小屋裏や床下は点検口から目視できる範囲とされています。検査方法は目視を中心とした非破壊で、破壊調査は所有者の同意が必要になるため、中古住宅売買時の検査には原則含めないとされています。
家具などで隠れている部分や点検口がない箇所は、確認できない可能性があり、確認できなかった箇所とその理由は報告されることになっています。建物状況調査でも、点検口がない場合などは「調査できなかった」と記載されます。前述のQ&Aでは、建物状況調査は原則として目視・非破壊検査で行い、例えば基礎の調査では敷地内の地中の調査は含まれないとされています。
ガイドラインは、検査結果が瑕疵の有無を判定するものではなく、瑕疵がないことを保証するものではない点、報告書の内容が検査時点からの時間経過による変化を保証するものではない点も、留意事項として挙げています。調査を受けても配管に問題がないと言い切れるわけではないことを前提に、結果を読みます。
既存住宅売買瑕疵保険と給排水管路の特約
手引きによると、既存住宅売買瑕疵保険は、構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分に瑕疵が発見された場合の補修費用などをカバーする保険です。引渡し前に検査を行い、基準に適合していれば加入できます。新耐震基準等に適合しているなど一定の要件を満たす中古住宅が対象で、一定の免責事由もあります。
国土交通省の保険商品の説明ページでは、特約を付けることで、給排水管路部分なども保険の対象にできるとされています。住宅瑕疵担保責任保険協会の個人向けページでは、給排水管路について設置工事の瑕疵による水漏れや逆勾配などが例として挙げられ、保険法人によっては給排水管路を保険の対象にしていない場合がある旨が注記されています。
配管の保証を期待する場合は、特約の有無、保険法人ごとの対象範囲、免責事由、保険金の支払い条件を、検査会社や保険会社に確認します。前述のQ&Aによると、調査結果に「調査できなかった」や「劣化事象有り」の記載があるとそのままでは加入できず、再度の調査や、補修したうえでの再検査が必要になる場合があります。
購入後の水道工事の費用を見積もりで確認する方法
購入後の水道工事の費用は、工事の範囲や現場の状況によって変わります。金額を先に決めず、現地を確認した複数の見積もりを比べて把握します。この記事では工事費の金額は示さず、見積もりで確認する項目を整理します。購入後にリフォームと合わせて水道工事を行う場合の追加費用が出る場面と見積もり前の確認点も、あらかじめ押さえておくと安心です。
見積もりを依頼するときに伝えたい情報
見積もりを依頼するときは、物件の築年数や構造、気になっている症状、確認できている更新履歴、希望する工事の範囲を伝えます。インスペクションを受けていれば、報告書も見せます。前述のQ&Aでも、報告書は買主がリフォームやメンテナンスをするときの参考になるとされています。
床下や壁内の状態は、工事の前には分からないことがあります。現地確認でどこまで確認できたのか、工事中に状況が分かった場合にどう対応するのかを、見積もりの段階で聞いておきます。
見積書で確認したい項目
複数の見積もりを同じ条件で比べるために、見積書の次の項目を確認します。
- 工事の範囲(給水、排水、給湯のどこからどこまでか)
- 配管の材質と交換する長さ、既存配管の撤去の有無
- 床、壁、天井を壊す場合に、復旧や仕上げが含まれているか
- 断水する時間や工事の日数
- 追加費用が出る条件と、その場合に事前に連絡があるか
- 出張費、諸経費、キャンセル料、夜間などの割増の有無
- 工事後の保証の範囲と期間
- 見積もりの有効期限
名古屋市上下水道局は、宅地内の給水装置工事を市指定給水装置工事事業者へ依頼するよう案内しており、工事店検索で確認できます。費用の考え方は、水道工事の費用相場はいくら?新設・改造・撤去・修理の目安と見積もりの注意点も参考にしてください。
購入後に確認したい名古屋市の鉛製給水管取替の助成
名古屋市上下水道局の鉛製給水管取替工事の助成制度(令和8年度)は、公私境界からじゃ口までの間に残る鉛管の全部または一部を、鉛管以外に取り替える工事が対象です。助成額は、上下水道局の基準で算出した工事費の2分の1で、上限は20万円です。
令和8年4月1日から令和9年3月10日までに、事前申請、工事、完了届の提出をすべて済ませる必要があり、施工は指定工事店であることが条件です。建替えに伴い給水装置を全面的に改造する工事は対象外です。令和9年度以降の扱いを含め、最新の期間や条件は公式ページで確認してください。助成の内容は【令和8年度】名古屋市の水道工事助成金|鉛製給水管の取替・雨水タンク助成を解説でも整理しています。
購入判断までの進め方と、戸建て・マンション別の確認先
確認は、記録、書面での質問、調査範囲の確認、見積もりの順に進めると整理しやすくなります。購入するかどうかや価格の話は、集めた情報をもとに不動産会社と相談します。
確認の流れ
調査の結果をどう扱うか、価格や契約条件にどう反映するか、保険に加入できるかどうかは、この記事では判断できません。宅地建物取引業者、調査機関、保険会社に確認してください。
戸建てとマンションで変わる確認先
戸建てとマンションでは、配管の持ち主や確認先が変わります。
戸建て
敷地内の給水管・排水管の経路や、道路から敷地に引き込まれた部分も確認の対象です。名古屋市内では、上下水道局が道路に埋設された上下水道管の図面をインターネットで提供していますが、利用できるのは宅地建物取引業者、不動産鑑定業者、建築士事務所、名古屋市指定工事店で、提供情報は保証されないため現地確認が必要とされています。個人の方は、不動産会社に取得の可否を相談してください。調べ方の詳細は敷地内の水道管・排水管の場所を調べる方法|名古屋市で確認できる情報と注意点で解説しています。
マンション
専有部分と共用部分の配管の区分は、管理規約で確認します。国土交通省の標準管理規約のコメントでは、配管の清掃費は管理費を充てられる一方、専有部分に係る配管の取替え等の費用は各区分所有者が実費で負担すべきものとされています。個別のマンションの規約で異なる場合があるため、管理規約と長期修繕計画で、配管の更新予定と費用負担を確認してください。調査で共用部分も対象になる場合は、あらかじめ管理組合の了承が必要です。
よくある質問(FAQ)
築年数が古い家は、給水管や排水管の交換が必要になりますか。
築年数だけでは決められません。配管の材質、更新履歴、現在の状態によって異なるため、まず更新履歴と水漏れの有無を売主・不動産会社に確認します。気になる点が残る場合は、調査の範囲を確認したうえでインスペクションを検討し、現地を確認した見積もりで必要な工事の範囲と費用を把握します。
インスペクションで、給排水の配管も調べてもらえますか。
建物状況調査の標準の調査対象には含まれず、オプション調査として依頼できる場合があるとされています(国土交通省のQ&A、平成29年6月1日現在)。調査会社によって対応が異なるため、依頼前に、給排水を調べる方法、調べられない範囲、追加費用を確認してください。
内見で蛇口を開けたり、水を流したりしてもよいですか。
所有者である売主の了承を得てから行ってください。設備を壊さないよう丁寧に扱い、収納内の部品を外す、床や壁を開けるといった作業は行いません。気になる点は触らずに写真とメモに残し、不動産会社を通じて売主に確認します。
瑕疵保険に入れば、配管の不具合は補償されますか。
一律には言えません。特約を付けることで給排水管路を対象にできる場合がありますが、保険法人によっては対象にしていない場合があります。対象となる例も、設置工事の瑕疵による水漏れや逆勾配などと説明されているため、特約の有無、対象範囲、免責事由を、検査会社や保険会社に確認してください。
購入後の水道工事の費用は、いくらくらい見ておけばよいですか。
工事の範囲や現場の状況で変わるため、金額を一律にはお示しできません。現地を確認した複数の見積もりを同じ条件で比べ、工事範囲、復旧の内容、追加費用の条件、保証を確認して把握します。購入前に見積もりを取れるかどうかは、不動産会社を通じて売主に相談してください。
給水管が鉛製かどうかは、どうすれば分かりますか。
築年数だけでは決められないため、更新履歴や図面を売主・不動産会社に確認します。不明な場合は、水道事業者(名古屋市内は名古屋市上下水道局)へ、不動産会社を通じて問い合わせ方法を確認してください。配管を自分で開けて調べることはお勧めしません。
まとめ:中古住宅購入前の水まわり・配管チェック
中古住宅の購入前は、築年数だけで配管の状態を判断せず、更新履歴と水漏れの有無を確認し、調査で確認できる範囲を把握したうえで、見積もりで購入後の工事費を確認することが基本です。
- 内見:売主の了承を得て、水漏れの跡、赤水、排水の流れを記録する
- 質問と書類:配管の更新履歴、水漏れの履歴、図面やリフォームの記録を書面で確認する
- 調査と保険:給排水が調査対象に含まれるか、調べられない範囲、保険の特約の有無を事前に確認する
- 工事費:金額を決めつけず、現地を確認した複数の見積もりを同じ条件で比べる
まずは気になる物件の内見メモを整理し、不動産会社に配管の更新履歴と調査の範囲を確認するところから始めてください。

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